ドイツの研究機構 Fraunhofer のSCAI研究所（SCAI）は、数学と機械学習を組み合わせて既存のアプリケーション知識をデータ分析手法に統合し、シミュレーションデータ分析ワークフローにおけるイベント自動検出の重要なステップとして、 SimCompareを開発しました。 SimCompareを使用すると、設計ツリーを体系的に分析し、設計変更により生じた偏差を検出することができます。また、SCAI製のツールModelCompareと連携して使用することで、開発段階で生じたモデル内の変更内容を特定することができます。

コンピュータ支援エンジニアリング（CAE）では、最終モデルがすべての設計基準を満たすまでに、設計開発プロセス全体で多数の設計変更が適用されるため、それぞれの設計変更を分析し、シミュレーション結果への影響を比較して評価する必要があります。 SimCompareは、シミュレーション結果の値の差に注目して設計変更の影響を簡単に分析します。

SimCompareは、設計変更に最も関連するパーツおよび問題が発生している可能性の高い部分を自動的にハイライト表示します。そのため、ユーザーは直観的にシミュレーション間の違いを理解することができ、手動で相違点を検出する負担や、シミュレーションデータベースの設定は必要がありません。分析設定ごとに自動調整されたレポートを生成し、設計変更の影響を文書化できます。

シームレスなインターフェイス

SimCompareは、GNS製Animatorのプラグインツール、あるいはスタンドアローンのバッチツールとして利用できます。実行結果はAnimator内で可視化されるので、エンジニアは既存のワークフローにSimCompareによる分析を組み込むことができます。新たにツールを追加する必要はありません。

節点および要素の計算結果に基づいた比較

シミュレーションモデルと節点または要素の計算結果（塑性ひずみ、変位など）があれば、プラグインGUIあるいは設定ファイルに指定した内容で比較することができます。対応するアンカーポイントを設定して抽出される剛体運動や変位量の情報を分析に用いることで、設計変更の結果生じる局部的な変形、塑性ひずみ、応力などの変化を詳細に評価することができます。

最も影響を受けたパーツのフィルタリング

同じように離散化されたFEモデル間では、差異はパーツごとに計算されます。SimCompareは、ModelCompareで高評価を得ている特殊なマッピング技術を使用しており、変更または組み合わされたパーツを含むモデル間の比較が可能です。最も影響を受けたパーツを自動でインタラクティブにフィルタリングし、設計変更の影響を体系的に検出できます。

目的に応じた複数のメトリクス

全体的な影響あるいは部分的な影響を対象にするために、複数の比較基準（メトリクス）が利用可能です。これらは要求に応じて、専門知識を含む他のエンジニアリングベースのメトリクスに拡張することができます。

部分的な挙動の可視化

節点および要素の計算結果に関する偏差がそれぞれモデル上に可視化されるため、問題が発生している可能性の高い部分を容易に検出できます。車両全体または特定のパーツを表示して、設計変更によって生じる影響の概要把握を容易にします。

レポートの自動生成/結果の保存

PDFレポートを自動で生成し、分析結果を簡単にアーカイブできます。さらに、検出されたすべての相違点は、プリプロセッサツールにロードするために、節点や要素ごとに保存されます。比較結果は、さらなる後処理をサポートする構造化されたJSONファイルにパーツごとに保存されるため、ユーザーが選択するシミュレーションデータ管理（SDM）ツールへの結果の統合が大幅に簡素化されます。

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